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沖縄本島、那覇の西に連なる慶良間諸島。この中でいちばん本島に近いのが前島だ。
ここは終戦直後には350人ほどの人口を抱えていたが過疎化が進み、昭和37年の台風被害を機に、残っていた住民全員が沖縄本島に移住。以来、無人島になっていた。
だがこの島に戻り、新しい島をつくろうと奮闘しているご夫婦がいる。
前島生まれの中村文雄さん、清子さんだ。今年68歳の中村さんは沖縄本島でサラリーマン生活を送っていたが、いつか生まれた島に戻ろうとの思いを抱き52歳で退職。島で暮らすには不可欠な船舶免許を取り、中古船を購入するなど準備を進め、2年前に夫婦で島に移り住んだ。
那覇から自力でコンクリートブロックを900個運び、それを一つひとつ積み上げて家を作る。昔の井戸からポンプで水を汲み、自宅まで通す。自家発電機を設置して、電気を送る。元小学校の校庭を開墾して畑にする。若いとはいえないおふたりが、こうやってコツコツと島の暮らしの基盤をつくり上げている。
その情熱はどこからくるのだろうか。
「このままでは島が滅びると思いました」と中村さんは言う。島を離れたあとも行事や墓参りで訪れるたびに、生まれ島が荒れ果てていくさまに心を痛めた。「できるかどうかなんて、考えたこともなく」、懐かしい記憶に縁取られた島にふたりで帰ることを決めたという。
次男の全彦さんも前島に住民票を移した。島の北側の浜を観光スポットにする計画も立ち上がっている。前島は今、長い眠りから覚めて、新しく生まれ変わろうとしている。
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